回りものとして回したまで

走ることについて語るときに僕の語ること

走ることについて語るときに僕の語ること

春樹新刊。走ることと、走ることを通して得られた人生観について語ったメモワール。小説以外の春樹作品を読むのは久しぶり。一気に読み上げる。「走ることと、走ることを通して得られた人生観」というフレーズは、「走ること」という部分に、他のキーワードを当てはめることもできる。彼にとっての「走ること」は、私にとって何に当たるのか、そんなことを考えながら読み進めた。久々に没頭できる本に出会った。
とはいえ、春樹の作品をあまり読んだことのない人であったり、春樹の作品が好きではない人にとっては、あるいはそれほど面白い本ではないかもしれない。彼が生み出した作品の数々(風の歌を聴けだったりピンボールだったり羊だったり)を愛しているからこそ、「その作品が生まれたバックグラウンド」としての読み方をするわけで。いずれにせよ、私にとってはあと10回は読み返せそうな貴重な1冊である。